設定たれながし。

ちょっくら駄文失礼します。だがあえて、推敲はしない!(笑)
――あれが死んで、もう1年か。
樹海の入り口から少し離れた場所にある、慰霊碑。そこにウル・ギ・ナはいた。
その手には、小さな花束。目立たぬ色彩を持つそれを慰霊碑に手向け、彼女は目を閉じる。
彼女の心の中には、ひとりの男がいた。同じ部族の民であり、身体も、心も、永遠にひとつになることを誓った男だった。
男は、この世界樹の中で死んだ。共に迷宮に挑んだ者もウル・ギ・ナに遺品のネックレスを渡すと、すまないすまないと泣きながら死んでいった。
彼女は、すぐさま死のうと思った。しかし、それはできなかった。
汝ら、自ら死を選ぶことは許されない。それが部族の戒律だった。
魂の半身を亡くし、後を追うことも許されず、彼女は途方に暮れた。
そして、決心する。
どうせ要らぬ命なら、男と同じところで仲間を守って死のう、と。
ウル・ギ・ナはそして、冒険者になったのだ。

「――ウル、ウルってば!」
声に振り向くと、そこには黒い礼服に身を包んだ少女がいた。
少女の名はエルナディア。ウル・ギ・ナの肩にも届かない小さな身ながら、ギルドのアタッカーを見事勤めるソードマンである。
「もう、行くならわたくしも一緒にって言ってたじゃないの!どうせ目的は同じなんだから…」
エルナディアもまた、優秀な兄3人を世界樹で亡くしていた。ハイ・ラガードの中でも名家の出である彼女は、家名を背負って必死に戦っている。その小さな身体で、傷つきながら。
その様を見て、ウル・ギ・ナの不機嫌そうな眉間が少し、ゆるんだ。
「もう少し生きてみるのも、悪くないかもな…」
「え?」
「…いや、なんでもない」
少女の問いかけを軽くいなして、ウル・ギ・ナは歩き出した。仲間たちの待つ、自分の居場所へ。